0x04-イーサリアムの歴史と展望

https://zhuanlan.zhihu.com/p/109531201
https://decert.me/tutorial/solidity/ethereum/eth_history

四つの段階#

第 1 段階：Frontier 前線–2015 年 7 月 30 日リリース。
第 2 段階：Homestead ホームステッド–2016 年 3 月 14 日リリース。
第 3 段階：Metropolis メトロポリス第一段階ビザンチウム 2017 年 10 月 16 日リリース、第二段階コンスタンティノープル 2019 年 2 月 28 日リリース。
第 4 段階：Serenity 静寂–リリース日未定。
前の三つの段階はイーサリアムの 1.0 時代で、POW に基づくコンセンサスメカニズムを使用しており、最後の段階はイーサリアム 2.0 で、POW から最終的に POS コンセンサスメカニズムにアップグレードされる予定です。

第 1 段階：[Frontier 前線]#

2015 年 7 月 30 日に高度 0 のブロックでイーサリアムネットワークの初期バージョン Frontier がリリースされました。創世ブロックには 8893 の取引が含まれており、これらは 2014 年の ETH 公開販売以来、クラウドファンディングに参加した取引アドレスおよびイーサリアム財団のアドレスからのものです。
Frontier はイーサリアムの原始的な状態であり、開発チームはこれをベータ版として位置付けました。これは安全で信頼できるネットワークではなく、体験と機能も非常にシンプルで、粗いと比喩されることができます。全体的に見て、その主な機能は以下の通りです：
1. マイニング機能：マイニングインターフェースを提供し、ブロックチェーン報酬ポリシーを規定しました：マイナーが新しいブロックを掘り出し確認された後、5ETH の報酬を得ることができます。
2. 制限的取引機能：契約をアップロードおよび実行する方法を提供しましたが、各ブロックのガス上限は 5000 にハードコーディングされており、この期間中にイーサリアムでの大規模な開発と取引が制限されました。その後数日間、マイナーがネットワークの操作と使用に慣れた後、ガスの上限は自動的に解除され、その後イーサリアムネットワークは期待通りに取引と契約を処理できるようになりました。
3. 中央集権的保護措置：Canary Contracts - カナリア契約は、ネットワーク内で発生するエラー操作や無効取引をタイムリーに警告し防止するために使用され、ユーザーが無効なチェーン上で操作するのを避けます。これは中央集権的なメカニズムであり、初期のイーサリアムにおいてネットワークの安全な運用に必要な保護を提供しました。
4. 使い勝手が非常に悪い：前線段階のイーサリアムネットワークにはグラフィカルな操作インターフェースがなく、すべてのクライアント操作はコマンドラインを通じてのみ実行可能であり、この粗い操作インターフェースは一般ユーザーには非常に不親切でした。そのため、初期のイーサリアムユーザーはコードに精通した開発者に限られていました。
この時期のイーサリアムの目標は、正常に機能するブロックチェーンネットワークを提供し、利用可能な環境を作成し、マイニングと取引が機能するようにし、開発者がさまざまな分散型 DAPP をテストし、開拓的な原始探査を行えるようにすることでした。
Frontier は公的テスト版に過ぎませんが、そのパフォーマンスは人々の期待を超え、多くのマイナーがネットワークに参加しマイニングを開始しトークンの報酬を得ました。これによりイーサリアムネットワークの計算能力が向上し、ハッカー攻撃に対抗する能力が高まりました。Frontier はイーサリアムの発展の歴史における最初のマイルストーンです。

第 2 段階：[Homestead: ホームステッド]#

2016 年 3 月 14 日円周率の日に、イーサリアムは第 2 段階 Homestead をリリースしました。これはイーサリアムバージョンの初めてのハードフォーク計画で、高度 1150000 のブロックで発生しました。ハードフォーク後のバージョンは以前のバージョンと互換性がないため、すべてのノードはフォーク前にバージョンアップグレードを完了し、メインチェーンのデータと一致させる必要があります。
これはイーサリアムの最初の安定版ネットワークであり、イーサリアムが安定して運用できることを示し、もはや不安全で信頼できないネットワークではありません。しかし技術的には、Frontier と比較して特に顕著な突破はありません。この段階の主な改善点は以下の通りです：
1. カナリア契約の廃止：イーサリアムブロックチェーン上の中央集権的機能とメカニズムを取り除きました。
2. Mist ウォレットの導入：グラフィカルインターフェースの mist ウォレットクライアントを提供し、ユーザーが ETH を簡単に保有または取引できるようにしました。イーサリアムはもはや技術者専用の開発ツールではなく、一般ユーザーもイーサリアムを簡単に体験し使用できるようになりました。
特筆すべきは、Homestead がイーサリアムの最初の正式かつ安定したネットワークであり、この段階のリリースから 2 ヶ月後、イーサリアム開発者会議 DEVCON-2 が 6 月 16 日に中国上海で開催され、会議のテーマはスマートコントラクトとネットワークセキュリティに焦点を当てました。しかし翌日、ブロックチェーン史上最も深刻なハッカー攻撃事件が発生しました：暗号通貨界を震撼させた The DAO 攻撃。The DAO プロジェクトが作成したスマートコントラクトの脆弱性がハッカーによって成功裏に攻撃され、360 万 ETH が盗まれました。ETH は最終的にコミュニティの大多数のメンバーの投票によって強制的にハードフォークを実施することが決定され、ブロック高度 1,920,000 でフォークが成功し、The DAO クラウドファンディング参加者の損失を回復しました。しかし、このフォークを認めない人々は依然として元のチェーンでマイニングと取引を行い、これが後にイーサクラシック（ETC）と呼ばれることになります。イーサリアムはこの時点で二分されました。

第 3 段階：[Metropolis: メトロポリス]#

メトロポリスはさらに二つの段階に分かれています：ビザンチウム（Byzantium）とコンスタンティノープル（Constantinople）で、二度のハードフォークを通じて技術のアップグレードが実現されます。
ビザンチウムは 2017 年 10 月 16 日に 4370000 ブロックの高度でアクティブ化され、フォークが成功裏に完了しました。これに関するアップグレードは主に以下の通りです：
1. ブロック難易度評価の公式の調整：叔ブロックを操作してブロック高度を強制的に増加させることができないように規定し、マイニングの難易度を高め、ブロック生成速度の安定性を保証しました。
2. マイニング報酬の調整：マイニング収益を各ブロック 5ETH から 3ETH に減少させました。
3. “難易度爆弾”（Difficulty Bomb）の引き延ばし：イーサリアムのコンセンサスメカニズムが POW から POS にスムーズに移行するために、イーサリアムは 2015 年 9 月に移行期間中に新しいブロックの難易度を徐々に引き上げる “難易度爆弾” メカニズムを計画しました。このメカニズムに基づき、POW の後期にはマイニングの難易度が新しいブロックを生成できないほど高くなり、イーサリアムネットワークは凍結され “氷河期” が形成されることになります。目的は最終的に POW メカニズムを排除し、マイナーが古い POW チェーンで作業を続けることを避け、二つの独立したチェーンが生成されてコミュニティが分裂するのを防ぐことです。ビザンチウムのアップグレードは “難易度爆弾” 計画を 1 年遅らせました。
コンスタンティノープルのハードフォークは何度かの遅延の後、2019 年 2 月 28 日にブロック高度 7280000 でトリガーされました。
コンスタンティノープルのアップグレードには合計 5 つの改善提案が含まれており、それぞれ EIP 1234、EIP145、EIP 1014、EIP 1052、EIP 1283 です。重要な内容には以下が含まれます：
1. ガス費用の最適化：SStore 操作コードの GAS 消費を削減し、イーサリアム仮想マシン内で dApp 開発者が特定の操作を最適化してガスを節約できるようにしました。これによりイーサリアムネットワークのスケーラビリティが向上しました。
2. “難易度爆弾” の引き延ばし：“難易度爆弾” の期間を 500 万ブロック遅らせ、約 12 ヶ月の期間を経て再投票が行われる予定です。
3. スマートコントラクトの検証：スマートコントラクトが他のスマートコントラクトのハッシュ値をチェックするだけで相互に検証できるようにしました。これにより多くの時間と労力が節約され、スマートコントラクトの検証効率が向上しました。
4. ブロック報酬の削減：再度マイニング報酬を各ブロック 3ETH から 2ETH に減少させました。これはイーサリアムにおける 3 回目のブロック報酬の削減です。
このアップグレードが最も影響を与えるのはブロック報酬であり、マイニング機器メーカーやマイナー、さらにはイーサリアムのマイニングエコシステムにもかなりの影響と調整をもたらすでしょう。マイニング収益が減少し、機会コストが増加するため、イーサリアムでのマイニングは他のコインに比べてコストパフォーマンスが低下する可能性があるため、多くのイーサリアムマイナーが ETC のマイニングに移行する可能性があります。また、マイニングプールもマイナーを維持するために他のコインに徐々に移行する可能性があります。

イスタンブール（Istanbul）#

イスタンブールは9069000で実行され、実行日は 2019 年 12 月 8 日です。イスタンブールフォークには以下の重要な改善があります：

calldata（データを保存する位置、6 章で紹介）パラメータのガス消費を削減（EIP2028）；
alt_bn128（楕円曲線）プリコンパイル関数のガス消費を削減（EIP1108）；
chainid 操作コードを追加し、スマートコントラクトが自分がメインチェーンにいるのかフォークチェーンまたは二層ネットワーク拡張チェーンにいるのかを識別できるようにしました（EIP-1344）；
BLAKE2 プリコンパイル関数を追加し、イーサリアムがプライバシー機能に特化した Zcash チェーンと相互作用できるようにし、イーサリアムのプライバシー能力を向上させました。

その中で 1、2、3 点はイーサリアムの二層ネットワーク拡張プランにとって大きな利点です。多くの二層ネットワークプランは、多くの取引をまとめてスマートコントラクトの検証に渡すため（alt_bn128 関数を通じて検証）です。
イスタンブールフォークには、さらに二つのガス費用の再調整の改善があります：EIP-1884 EIP-2200 ここでは詳細を紹介しませんが、興味がある方はリンクを通じてお読みください。

信号チェーン創世ブロック#

2020 年 12 月 1 日、信号チェーンが正式に起動し、イーサリアムが POS コンセンサスに向かう重要な一歩となりました。
信号チェーンが起動した後、イーサリアムには二つの独立したチェーンがありますが、この時点で信号チェーンはコンセンサスのみを行い、取引は行えません。

ベルリン（Berlin）#

ベルリンアップグレードは12244000で行われ、特定のイーサリアム仮想マシン操作の燃料コストを最適化し、さまざまな取引タイプのサポートを追加しました。ベルリンアップグレードの変更点は以下の通りです：

EIP-2565 – ModExp 燃料コストの削減
EIP-2718 – 多様な取引タイプのサポートを容易に
EIP-2929 – 状態アクセス操作コードの燃料コストの増加
EIP-2930 – オプションのアクセスリストを追加

ロンドン（London）#

ロンドンアップグレードは12965000で行われ（2021 年 8 月 5 日）、EIP-1559が導入され、取引手数料が変更され、取引手数料の返金処理も変更されました。変更点は以下の通りです：

EIP-1559 - 取引手数料市場の改善
EIP-3198 - ブロックから BASEFEE を返す
EIP-3529 - イーサリアム仮想マシン操作のガス返金の削減
EIP-3541 - “0xEF” で始まる契約のデプロイを防止
EIP-3554 - 氷河期を 2021 年 12 月まで延期

TheMerge マージ#

2022 年 9 月 15 日、信号チェーンとイーサリアム POW チェーンが統合され、これは重要なマイルストーンです。マージ後、POW コンセンサスは使用されなくなり、二つのチェーンは新しい名前：コンセンサス層と実行層を使用します。
実行層は取引の実行（EVM）を担当し、コンセンサス層はコンセンサスのブロック生成を担当します。

第 4 段階：[Serenity: 静寂]#

イーサリアムの最後の発展段階であり、機能が充実し安定した時期を意味し、イーサリアムは “静寂” に向かいます。これが私たちが知っているイーサリアム 2.0 の時代です。
イーサリアムの 2.0 は二度のアップグレードの成功に伴い開始され、静寂が訪れる前に “イスタンブール” と “イーサリアム 1.X” の二つの段階を経ることになります。
イスタンブールハードフォークは 2019 年 12 月 8 日に高度 9069000 で成功裏に起動し、6 つの改善提案が提出されました。イーサリアムのこのアップグレードのキーワードはコストと速度です。性能の向上、コストの最適化、Zcash との相互運用性の改善を実現し、スマートコントラクトに関するより創造的な機能をサポートします。
1. コスト：プリコーディング、コード価格、ガス費などのさまざまな開発コストを削減し、取引データコストを 1 バイトあたり 68 ガスから 16 ガスに削減しました。このようにして、1 つのブロックにより多くのデータを収容でき、イーサリアムの帯域幅が増加し、スケーラビリティが向上しました。
2. 速度：TPS が 3000 に上昇し、イーサリアムネットワークは毎秒 3000 件の取引を処理できるようになりました。それ以前は、イーサリアムは毎秒約 30 件の取引しか処理できませんでした。

未来：ロールアップを中心とした開発ロードマップ#

Vitalik は 2022 年 11 月 5 日にイーサリアムの最新の開発ロードマップを発表しました：

新しいロードマップには、The Merge、The Surge、The Scourge、The Verge、The Purge、The Splurge の 6 つの段階が含まれており、6 つの段階が同時に進行しています。
The Merge 段階：ほぼ完了しており、4 月に上海アップグレードを行い、引き出し機能を有効にする予定です。
The Surge 段階：ロールアップを中心とした拡張を推進し、ロールアップのコストを削減します。
The Verge 段階：Verkle ツリーを導入し、データストレージと検証を最適化します。
The Purge 段階：データを整理し、ストレージを簡素化し、検証者のハードディスクスペースの性能要件を低下させます。
The Splurge 段階：EVM の改善とゼロ知識証明の全面的な導入を行います。